インドEORと他の契約形態(業務委託・派遣・子会社設立)の比較

インドの優秀な人材を活用したい――そう考える日本企業は年々増えています。しかし、現地との契約形態は「EOR(Employer of Record)」「業務委託」「派遣」「自社での現地法人設立」など多岐にわたるため、どれを選ぶべきか迷う方も多いのではないでしょうか。

本記事では、インドEORとその他の契約形態を項目ごとに比較し、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすくまとめます。実際のケースも交えながら解説するので、ぜひ導入検討の参考にしてください。

目次

    1. 契約形態の概要と特徴

    契約形態 概要 代表的な業種・用途
    EOR(Employer of Record) 海外のEOR事業者が雇用主となり、企業は業務指示だけ行う仕組み。給与計算・社会保険などの労務管理をEORが代行 人事・労務管理のアウトソースを重視する企業
    業務委託 成果物やプロジェクト完了を目的とした契約。雇用関係は生じず、「納品ベース」での取引が中心 ソフトウェア開発、デザイン制作、コンサルなど成果物が明確な業種
    派遣 派遣会社が雇用主となり、派遣先企業が業務指示を行う形。日本国内では労働者派遣法による厳しい規制が適用 国内のオフィスワーク、製造現場、IT開発など広範囲
    現地法人設立 自社がインドに法人を設立し、直接現地人材を採用・管理する。大規模・長期的な拠点展開に向く 大手・中堅企業がインド市場を本格開拓する場合など


    海外人材の採用でよくある「現地法人設立」「業務委託」「派遣契約」とは異なり、給与・税務・社会保険の処理をEORが一手に引き受けるため、企業側は煩雑な現地法規対応を大幅に軽減できます。

    2. コスト構造と初期準備の比較

    EOR

    • 初期コスト: 法人設立不要のため比較的低め。導入時にEOR事業者へのセットアップ費用や月額手数料がかかる場合が多い。

    • 運営コスト: 給与や社会保険の立替(EORが負担→企業へ請求)と手数料のみ。大人数を雇用すると手数料合計が高くなる場合も。

    • ポイント: 小規模・短期的にインド人材を活用したい場合に向いている。スピーディに開始できるが、人数が増えると相対的にコストが上がりやすい。

    業務委託

    • 初期コスト: 基本的に契約書作成とプロジェクトの見積もり程度。

    • 運営コスト: 成果物ベースで支払うことが多いが、要件変更が発生すると追加費用がかかる可能性あり。

    • ポイント: 決まったプロジェクトや納品を前提とするため、継続的な人材活用や日々の細かな指示を行う場合には不向き。指揮命令を直接行うと「偽装請負」になるリスクもある。

    派遣

    • 初期コスト: 派遣先として受け入れる際は契約書の締結など国内の労働者派遣法に即した手続きが必要。海外派遣となるとさらに複雑。

    • 運営コスト: 派遣料金には派遣会社のマージンが含まれるため、長期間だと合計コストが大きくなる。

    • ポイント: 日本国内での派遣法遵守が主眼。海外人材を日本で派遣する場合には在留資格などの面が難しく、インドリモート人材の活用には直接当てはまりにくい。

    現地法人設立

    • 初期コスト: 法人登記費用、弁護士・会計士への報酬、資本金などで数十万~数百万円。

    • 運営コスト: 毎年の監査や税務申告、オフィス賃料、人事・労務担当の配置など固定費が大きい。

    • ポイント: 大人数を採用するほど一人当たりのコストは下がるが、運営負荷ガバナンスを徹底する必要がある。長期的に大規模展開を考える企業向き。。


    3. 労務・リスク管理の比較

    EOR

    法的な雇用主はEOR事業者のため、給与計算や労働法対応、社会保険手続きなどはEORが担当。

    インド独自の複雑な法規制の把握が不要で、コンプライアンスリスクが最小化されるメリット。

    ただし、EORが対応しない業務(ビザ取得サポート等)は別途相談必要。

    業務委託

    納品ベースの契約であるため、雇用リスクは原則なし。ただし、継続的な指揮・命令を行うと「偽装請負」になり、違法と判断されるリスクがある。

    コンプライアンスは委託先企業が管理するが、品質や進捗に問題が起きても雇用関係がないため、対応には契約書ベースの交渉が必要。

    派遣

    雇用主は派遣会社であり、企業は派遣先として労働者に直接指示を出す。

    日本国内なら労働者派遣法のルールが細かく設定され、期間制限や業務範囲など規制も多い。海外派遣はさらに複雑で、あまり一般的ではない。

    現地法人設立

    自社が雇用主となるため、労働法・社会保険などの遵守が必須。専門スタッフやコンサルを雇わないとリスクが大きい。

    トラブル時の対応や人事制度構築など、現地法人運営にまつわる管理業務が増える点に注意。

    4. どんな企業におすすめ?

    海外進出をテストしたい

    インド市場に興味があるが、まずは少人数で開発やリサーチをしてみたい企業

    優秀なITエンジニアを確保したい

    インドならではの高度人材を早期に活用したいスタートアップや中小企業

    現地法人の設立リソースが不足している

    コストやノウハウ面でいきなり法人設立するのはハードルが高い場合

    労務管理に不安がある

    インドの労働法や税務に詳しい担当者が自社にいない場合

    5. まとめ

    インドEORとは、現地に法人を持たずとも、インド人材を雇用・活用できる新たなスキームです。法的な雇用主となるのはEOR事業者であり、日本企業は煩雑な労務管理やコンプライアンス対応から解放されます。優秀なエンジニア確保やスピーディーな海外展開を目指す企業にとっては、導入のハードルが低くリスクも抑えられる有力な選択肢と言えるでしょう。

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